脳卒中後でも車の運転はできる?〜運転に必要な高次脳機能と再開までの流れ〜
- チャレンジド ジム

- 5月25日
- 読了時間: 8分
こんにちは!
チャレンジドジムです!
「また車を運転したい」これは脳卒中後の方からとても多く聞く目標のひとつです。
特に北海道では、車がないと生活が不便になる場面も多く、運転の再開は“生活の質”に大きく関わります。
しかし、運転は単純な動作ではなく、複数の高次脳機能が同時に働く非常に高度な作業です。
「手足が動くようになった=運転できる」ではないため、正しく理解しておくことがとても重要です。
今回は運転に関わる高次脳機能についてや運転を再開するまでの流れについてご紹介していきたいと思います。
目次
運転に必要な高次脳機能(障害と影響)
注意障害
注意機能は「運転の土台」となる能力です。
どんな障害?
注意機能は大きく分けて3つの種類があります。
注意が続かない(持続性注意の低下)
同時に複数のことができない(分配性注意の低下)
必要な情報に注意を向けられない(選択性注意の低下)
また、これらすべての注意機能が低下する症状を『全般性注意障害』といいます。
運転での影響
運転は「見る→判断する→操作する」という流れで行われます。
しかし、その最初に必要なのが【気づく力(注意機能)】です。
例えば信号や歩行者の存在に気づかなければその後の判断や操作はできません。
つまり注意機能はすべての運転行動の“スタート地点”であり、土台となる能力です。
信号や標識の見落とし
歩行者への気づきが遅れる
ナビや会話に気を取られると運転がおろそかになるなど
注意障害では、一つのことに意識が集中すると、周囲が見えなくなる状態です
遂行機能障害
目的に向かって行動の順序を組み立て、状況に応じて調整する力
どんな障害?
計画が立てられない
状況判断が苦手
臨機応変な対応ができない
運転での影響
計画を立てるなど行動する順序の組み立てが難しくなるため、道順を決める運転するための手順を決めるなど様々なことが難しくなります。
そもそも運転する前の手順にはシートに座ってから行うこととして、
シートベルトを付ける
エンジンをかける
シフトを操作する
安全を確認してからアクセルやブレーキを操作するなど
様々な行動が必要になります。
しかし、行動の順序を立てることができなくなるとエンジンがかかってないのにシフトを操作してしまったり、シートベルトをしないまま車を動かしてしまったりなどの危険な行動を起こすことがあります。
また、運転中でも、
右折や合流のタイミングがわからない
危険を予測できない
急な出来事に対応できない(急ブレーキ・回避など)
“とっさの判断”が求められる場面でリスクが高まります
半側空間無視(特に重要)
運転に大きく影響する代表的な高次脳機能障害です。
どんな障害?
片側(多くは左側)の空間に気づけない
見えていても認識できない
運転での影響
半側空間無視を理解する上で重要な点は、左側の空間が『見えない』のではなく『気づけない』点です。
トレーニングで左側の空間が『ある』ということを理解はしていても実際の動作になると『気づけない』ので反応に遅れが出やすくなります。
普段歩くくらいの速度でなら気づけても車の速度になるとさらに気づきにくくなるということ多くあります。
そのため、運転中では、
左側の車や歩行者に気づかない
左折時の巻き込み事故のリスク
車の位置が安定せず、左または右に寄ってしまうなど
重大事故につながる可能性があり、特に注意が必要です
視空間認知障害
位置関係や距離感を把握する力の低下です。
どんな障害?
距離感がわからない
左右や奥行きの把握が苦手
自分の位置が把握しにくい
運転での影響
車を運転していると様々な距離を認識する必要があります。
車同士の距離感、車と建物の距離感、車と人との距離感など様々です。
自分の体の大きさや手の届く範囲であればある程度認識できていても、車の大きさや速度を出している時にどれくらい車が動くのか等様々な距離感を認識する必要があります。
その距離感がうまくつかめなくなると、
車間距離が不適切になる
駐車がうまくできない
縁石や障害物にぶつかりやすいなど
車と様々な物との接触事故につながりやすく大変危険になります。
記憶障害
特に「ワーキングメモリ」が重要です。
どんな障害?
直前の情報を保持できない
複数の情報を同時に扱えない
運転での影響
運転する際には道順を覚えたり、ミラーで確認した情報を覚えて運転に反映させたりします。
しかしワーキングメモリーの低下があると、
ナビの指示をすぐ忘れる
操作の手順を忘れる
道順が覚えられない
ミラーで確認した内容を忘れるなど
「さっきの情報」が使えない状態です
病識低下
自分の状態を正しく理解する力です。
どんな障害?
自分の障害を自覚できない
過信してしまう
運転での影響
今までにお伝えしたような高次脳機能障害の症状や手足の麻痺がある場合に、安全に運転できないかもしれない・・・と思われる方も多くいらっしゃいます。
しかし病識が低下している方になると、『これくらいなら大丈夫』、『自分は病気じゃないから大丈夫』など考えてしまい、安全ではないにも関わらず運転してしまいます。
そのため、
危険な状態でも運転しようとする
ミスに気づけないなど
安全管理に直結する、とても重要な要素です
運転再開までの流れ
脳卒中後に運転を再開するには、段階的な確認と評価が必要です。
①主治医への相談
まずは医師に相談し、運転再開の可否や評価の必要性を確認します。
医師は運転を直接禁止する権限はありませんが、運転に支障があると判断された場合は注意が必要です。
運転免許は「安全に運転できること」が前提となっているため、高次脳機能障害などにより運転に影響がある場合、免許の停止や取消の対象となる可能性があります。
また、免許センターでの適性相談では、医師の診断書をもとに判断が行われるため、医師が「運転は難しい」と判断している状態では、審査が通らないこともあります。
また、医師から運転について制限がある状態で事故を起こした場合、過失が大きくなる可能性もあります。
そのため、自己判断で運転を再開するのではなく、必ず医師や専門機関に相談することが重要です。
②高次脳機能検査
医療機関などで
・注意
・記憶
・判断力
などを評価します。
医師の判断材料にもなることがあります。
ご自身やご家族など周りの方にも安全に運転できるようになっているということを確認するためにも評価定期的な評価を受けることが大切です。
③実車評価(必要に応じて)
必要に応じて、自動車学校などで実際に車を運転し、運転能力を確認する「実車評価」を受けることができます。
ただし、すべての自動車学校で実施しているわけではなく、対応している施設に限られます。
また、実車評価はあくまで運転能力の確認であり、運転の可否を最終的に判断するものではありません。
最終的な判断は、医師や公安委員会によって行われます。
④免許センターでの手続き
脳卒中後に運転再開を検討する場合、免許センターで「適性相談」を行うことがあります。
適性相談では
現在の体や認知機能の状態
日常生活の様子
などを確認し、必要に応じて医師の診断書を提出します。
また、状況によっては追加の検査や評価が行われることもあります。
その結果、
問題なく運転可能
条件付きで運転可能
運転は難しい
といった判断がなされます。
また、免許センター(公安委員会)では事前に電話での問い合わせなども行えるため必要な物や内容などについて問い合わせしておくとスムーズになります。
場合によっては、
医師の診断書
検査結果(高次脳機能検査の結果)
などが必要になる場合もあるので事前に確認しましょう。
警察署では更新できない?
通常の免許更新は警察署で行うことができますが、脳卒中後や高次脳機能障害がある場合は注意が必要です。
免許更新時には病気に関する申告があり、その内容によっては警察署では判断できず、免許センターでの「適性相談」が必要になることがあります。
警察署は主に手続きを行う窓口であり、運転の可否の最終判断は公安委員会(免許センター)が行います。当施設でできること
当施設では
注意力トレーニング
判断力(遂行機能)のトレーニング
反応速度の向上
身体機能の改善
など、運転に必要な能力を高めるためのトレーニングを行っています。
※※当施設では「運転してよいかどうかの判断」は行っていません※※
最終的な判断は
医師
公安委員会(免許センター)
などの公的機関が行います。
「体が動くから大丈夫」ではなく、脳の機能も含めた評価が重要になります。
一方で、適切なトレーニングによって運転に必要な能力を高めていくことは可能です。
「また運転したい」「自分は運転できる状態なのか知りたい」そんな方は一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。



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