脳卒中後「段取りがうまくいかない」それって【遂行機能障害】かも?―作業療法士が解説!遂行機能障害の症状と対処のヒント-
- チャレンジド ジム

- 2 日前
- 読了時間: 6分
こんにちは!
チャレンジドジムです!
脳卒中後(脳梗塞/脳出血など)に、こんな変化を感じることはありませんか?
何かしている途中で気がそれてしまう
同時に2つのことをすると混乱する
作業の途中で何をしていたか分からなくなる
家事や仕事の段取りがうまくいかない
手足の麻痺や言葉の障害は分かりやすいですが、こうした「うまく生活を回せない感じ」は周囲にも理解されにくく、本人も戸惑うことが多い症状です。
実はこれ、脳の「遂行機能(すいこうきのう)」と呼ばれる働きが関係している可能性があります。
今回は、脳卒中後によく見られる「注意のそれやすさ」や「同時にできない」という症状についてご紹介していきたいと思います。
目次
料理で考える高次脳機能障害!
【料理】は多くの工程がありますが、料理に慣れている人と初めて料理する人では【手際】が違いますよね。
他の工程でも違いが出てきますが、普段からご自宅で料理をする人は、
冷蔵庫に何が入っているかを思い出す(記憶力)
作るものを決める(判断力)
材料を切ったり調理する手順を考える(遂行機能)
料理をしながらテレビを見る(注意力)
料理をきれいに盛り付ける(空間認識)
そもそも料理をしようと思う(意欲)

といった、さまざまな高次脳機能を活用しながら料理を行っています。
そのため、初めて料理をする人の場合は手順を考える(遂行機能) や料理をしながら別のことに注意を向ける(注意力)といった余裕を持つことが難しいことがあります。
高次脳機能障害は、この【料理初心者】の状態に少し似ています。
初めて料理をする場合、
どの手順で進めればよいのか
この作業の間は目を離してもよいのか
材料はこれで足りているのか

など、一つひとつの判断に自信が持てず、不安になることがありますよね。
または、本人は自身満々でも周りから見てたら『大丈夫かな?』と心配になったり、『あそこはもっとこうしたらよくなるのに・・・』ともどかしく思うこともありますよね?
このように、日常生活の中で
何から始めればよいのか分からない
同時にいくつものことが難しい
判断に自信が持てない
といった状態が起こるのが、高次脳機能障害の特徴の一つです。
遂行機能は「脳の段取り力」
遂行機能とは、簡単に言うと「物事を計画して、順番に実行していく脳の働き」のことです。
私たちは何かしらの作業をするときに無意識のうちに
手順の確認をする
必要な材料を考える
他の作業とバランスを取る
といったことを脳内で処理しています。
また作業をしながらも
次の手順を考える
次の手順で使う道具がどこにあるのか思い出す
など、様々な順序や手順を考えています。
このように、複数の情報を整理しながら行動する力が遂行機能です。
この働きは主に、脳の前の部分(前頭葉)が中心になってコントロールしています。

これらの症状はごはんを食べたり、トイレに行ったりと言った日常生活動作上ではあまり障害になり得ませんが、ご自宅や社会に戻ってから症状があることが発覚したということも少なくありません。
脳卒中後によくある「注意」と「遂行機能」の問題
脳卒中のあと、よく見られるのが
注意がそれやすくなる
同時に複数のことができなくなる
という変化です。
例えばリハビリの現場でもよくあるのが、
歩きながら話すと歩くのが止まる
作業中に話しかけられると手が止まる
家事を同時に進めると混乱する
といったケースです。
これは「やる気」や「努力」の問題ではありません。
脳の中で
注意を配る力
情報を整理する力
がうまく働かなくなっている可能性があります。
脳卒中後の方でよく聞くのが、「前は普通にできていたのに、同時にやると混乱する」
という声です。
例えば、
料理をしながら会話をすると、手が止まってしまう。
掃除機をかけていたのに洗濯が終わった音がして洗濯物を干しているうちに掃除をしていたのを忘れる
複数の作業を同時に進めると、何からやればいいか分からなくなる。
これは、脳の処理能力が落ちているというよりも「一度に扱える情報量が減っている」
状態と考えられます。
そのため、以前のようなマルチタスク(同時作業)が難しくなることがあります。
生活でできる工夫
こうした症状がある場合、無理に以前と同じやり方を続けるよりも、少し工夫することで生活が楽になることがあります。
例えば次のような方法を試してみましょう。
1つずつ作業する
同時に作業をこなすことが難しくなっていることが多いですが、1つの作業ができなくなったわけではないことがあります。
できるだけ「同時にやること」を減らし、1つの作業を終えてから次へ進む
ようにすると混乱が少なくなります。
作業環境をシンプルにする
注意力の低下には様々な種類がありますが、色々なものに注意がそれやすいということが多くあります。
音や色、動く物など注意がそれやすいものは人それぞれですが、目に入らなくなることで集中しやすくなる場合があります。
テレビやスマートフォンなど、注意がそれるものを減らすと集中しやすくなります。
他の作業に注意が向きにくいような環境調整も作業を進めるためにも大切です。
手順を書き出す
家事や仕事の手順を紙に書いておくことで、
今どこまでやったか
次に何をするか
が分かりやすくなります。
手順などを書き出して実施したらチェックをつけるなどの工夫でどこまでやったか、次に何をするかを視覚的に把握しやすくすることで混乱せずに作業をできる場合があいます。
タイマーを使う
「10分だけ集中する」など、時間を区切る方法も有効です。
タイマーの音の種類などで使い分ける方もいらっしゃいます。
遂行機能はリハビリで改善する可能性があります
こうした注意や遂行機能の問題は、
脳の回復
リハビリ
環境調整
によって改善する可能性があります。
実際にリハビリの現場でも、
作業を整理する練習
注意を保つトレーニング
同時作業の練習
などを行うことで、少しずつ生活しやすくなる方も多くいます。
「自分の努力が足りないのでは」と思ってしまう方もいますが、これは脳の働きの変化による症状です。
また、これらの高次脳機能障害はご本人が気づいていないという場合も少なくありません。
ご家族や職場の方などからの相談で初めて症状があったという方もいらっしゃいます。
困っていることがある場合は、一人で抱え込まずリハビリの専門職に相談してみてください。




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